「雨宿りの木」〜フランス認証施設視察報告会〜開催報告
2022年12月14日(水)18時より、「雨宿りの木」〜フランス認証施設視察報告会をオンラインで行ないました。日本ユマニチュード学会の会員の方々をはじめ、一般でのご参加の方も加えて、約50名の方にご参加いただきました。
はじめに、代表理事の本田美和子より、今回の訪問の目的・メンバー等についての説明を行ないました。
続いて、本田代表理事とともに実際に、視察に行きました、認証制度本部長の森山由香が、当時の写真に沿って、解説を行ないました。当日進行を務めました、認証制度担当の成冨や参加者として入ってくださっていた認定インストラクターの丸藤さんも、現地視察の構成メンバーでしたので、時折、お二人の感想等もまじえつつの進行となりました。

今回の訪問先は、1373年設立のホスピスが由来の施設で、2018年にユマニチュードの認証を取得した、入所者約180名の大規模な施設です。施設長は、フランスにおいてユマニチュードの認証を司る会の会長をしている方でもあるそうで、笑顔が素敵な方で、自らが率先して現場に入りユマニチュードを実践していることが随所に感じられたそうです。
訪問時には、施設内は日本の飾り付けをたくさんしてくださり、歓迎の歌も作って歌ってくださったそうです。
施設内にはカフェや店舗・美容院等も併設されており、そのいずれもが、入居者のみならず、職員・家族も利用可能で、また、施設外からも入れる仕組みになっていました。ユマニチュードの5原則の一つである、「外部に対して開かれた組織」そのものです。とりわけ施設内の美容室がおしゃれで、よく利用されているようです。利用者も皆、おしゃれで、起き上がって寝癖がついているような人も見当たらないとのことでした。
ユマニチュードでは、ユマニチュードの価値観である人としての尊厳、自由、平等、市民権、自律、自立の尊重と実現を目指し、入居者・患者、職員、経営者、3者それぞれの価値観・振舞い・役割を『生活労働憲章』としてまとめています。この施設においても、この生活労働憲章が大切にされていることが痛感できたそうでした。(※生活労働憲章)
リハビリには、気軽な気持ちで、なおかつスカートを履いて参加する、そこにも自己決定・自己選択が散りばめられているようでした。歩行器等を使いつつ、歩く機会を工夫して増やしています。レクレーションも、当たり前のように一人で立ってボール投げをしている。日本であれば、「危ない」「座りましょう」、となってしまいそうな場面でした。

歓迎の歌や詩を披露してくださるときも、みなさんそれぞれ立って行なっており、「立つ」がいろいろな場面で実践されていたそうです。
実際に現場に入ってケアを行なう場面では、「黒子とマスター」を実践しました。実際に訪問した、丸藤さんが飛び入りで感想をくださいました。日本語で話しかけても、メッセージは伝わるなあと実感したそうです。相手の手からもそれがよく伝わってきたそうです。
食事について、嚥下食は見た目も匂いも日本で見るものとは違っていて、他の食事も手でつかみやすい形やサイズになっていました。食べながら歩くのもOKとしているとのことでした。アップルパイもおいしいし、しっかりりんごの風味が感じられたそうです。栄養面だけでない工夫がたくさんなされていたそうです。

家族との交流などに利用できるサロンは、もともとは寝たまま入れるお風呂があった場所で、そういう設備も今では不要になったとのことでした。
また、個人のお部屋は、それぞれの好きなものを持ってきているそうで、個性的なお部屋でした。安心できる空間につながっているそうです。
施設の年間活動計画の中には、入居者さまがエンジョイできる機会を作れるようにしているとのことでした。
後半は、チャットに寄せられた質問に、お答えしてまいりました。たくさんの質問やご感想をいただきました。ありがとうございました。
最後に、森山認証部長より「フランスでかけ離れたケアをしていると言うわけではない。少しやり方・考え方等を変えれば、日本でもフランスの施設のようなケアが実現できる、と自信が持てた。」と締めくくられました。
あっという間の1時間でした。ご参加いただいた皆様、ありがとうございました。
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