第9回サポーターズサロン開催報告

2025年3月25日(火)18時から『第9回サポーターズサロン』をオンラインで開催しました。

サポーター準備講座・養成講座を受講後、 “ユマニチュードを通して優しさが伝わり合う社会を実現するために共に助けあい、支え合う仲間”としてサポーター登録してくださった方々と2カ月に1度、集います。

進行はユマニチュード認定インストラクターで、北星学園大学教授でもある当学会の大島寿美子理事。

北海道から沖縄までの全国のサポーターが参加して、ユマニチュードの実践について、日頃抱えている介護のお悩み、そしてそれぞれの立場から経験談を分かち合いました。

サポーターの皆さんのユマニチュードの近況報告

サポーター登録者が、120名を超え、今回初めてサポーターズサロンに参加する方も多かったので、まずは自己紹介も含めてお互いの近況報告をしました。

木築さんの話題提供と、意見交換会

木築さんの話題提供

脳神経外科で、サブスペシャリティーとして認知症と脳卒中の専門医をしている。定年数年前にメスを置き、その頃から回復リハビリテーションをしている。ユマニチュードとは書籍で出会った。対応に困る患者さんが多数いて、悩み、ユマニチュードの本を読みあさった。サポーター講座を受けると、本では理解できてなかったことにも出合い、以前よりは上手になったと思いつつ日々試行錯誤をしている。

何十年も一生懸命考え続けている認知症について、勉強しているユマニチュードで、難しいと思っていることを2つ話題提供したい。

1) 私の診ている患者さんは、認知症だけではなくて、脳の病気もあり、認知機能が落ちているだけではなくて、意識、体の動きが悪い等の症状がある。ユマニチュードの技法を駆使して工夫しても「大切に思っていますよ」が患者さんに届かないことがたくさんある。簡単に答えが出る問題ではないが、難しいなと日頃思っている。

2) 病院の職員にユマニチュードを知ってもらうために『ユマニチュードキャラバンwithサポーター』を病院で実施してもらった。しかし、実際にユマニチュードを覚えよう、ユマニチュードを実践しようと一歩を踏み出す人が思ったより増えない。とても困った患者さんがいた時に「先生来て!」と私が呼ばれてしまう。自分でやろうとしない。できる人が増えてほしい。

木築さんの話題提供の後、サポーター、インストラクターの感想と意見交換

・デイサービスの職場で同じように思うことがある。その人の機嫌もある。今は機嫌が悪いみたいな時は追いかけない。次のタイミングでは機嫌がよくなって、うまくいったりするので、機嫌が悪い時は深追いをせず、遠くから見守るようにしている。

・その人の機嫌と性格もある。特に話すについては、その人に合わせた話し方にしている。早く楽しく話した方がいい方と、ゆっくり優しく話すのがいい方と、人それぞれ違う。その方のことが分かったら、その方に合わせて話し方を変えていく、そうすると心を開いてくれる。

・介護職員が本人の家族との関係がいいと、本人も安心するようで、認知症が進んでも、介護職員との関係や反応がとても明るい。また、ユマニチュードを習ってない方でも、傾聴するのが得意な方、ゆっくり人の話をうんうんと聞く方には、認知症の方も家族の方も、心を許す方が多いなと感じる。

〈インストラクター渡邉さん〉他の職員にもやってもらいたい時は、その方の情報と、こういうこと言ったら喜ぶよ!というヒントを伝えて、その話題が出た状態になった時に、正面から目を見て話しかけてと、具体的にアドバイスする。このアドバイスと反応が良かったことを、また別の職員に伝えてもらう。このように部署内、フロア内でできる人、成功体験を共有できるようにしていった。

〈インストラクター桃さん〉ユマニチュードを知らない人からしたら、見る・話す・触れるは、とても当たり前にやっていることと感じるのではないか。でも、本当に見ているところはどこなのか?等、自分がやっているケアを映像で見なおす事もないし、誰にも指摘されないので、できているかどうか気づかないと思う。自分が施設でよくやっていたのは、自分が率先して、うまくいく状況を他のスタッフ見てもらうこと。ユマニチュードってすごいな~を見る機会を増やすのがいいのかなと思う。

・父が施設に入っていて、施設の対応がうまくいかず、日々試行錯誤している中で心が痛くなることがある。しかし、このサロンで皆さんに会うと、すごく励ましてもらう。サロンに参加すると力をもらって、やっている事が間違いではないと確認できる。ユマニチュード仲間の皆さんがいるということが、私の支えになっている、本当にありがたい。

・家族の立場としては、木築さんや介護職の方・施設側が、ユマニチュードを取り入れる努力をしてくださっているのは、すごくありがたいこと。家族側として、ユマニチュードを知っている人、理解者を増やしてユマニチュードを施設にとりいれてもらう努力をしたい。家族側が変われば、施設も変わっていくことがあるように思う。

木築さんの話題提供で、市民・家族のためのユマニチュードサポーター講座の目的の一つでもある、ユマニチュードの仲間を増やして、ユマニチュードのケアを伝えることの大切さを再確認できました。そして今、そういう仲間がいることを、嬉しく感じることができる大変よい機会となりました。

次回の第9回サポーターズサロンは、2025年5月20日(火)18時からです。次回は、年に一度のステップアップ講座となります。

サポーターの皆様との再会を楽しみにしています。

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