<第2回:アトリエ・ハコ デュプイさまご夫妻>認定インストラクターとの無料講習会に参加された方からの喜びの声
ユマニチュードキャラバン2023 好評開催中!
認定インストラクターとの無料講習会に参加された方からの喜びの声を取材しました。第2回は、2022年10月に受講された『アトリエ・ハコ』のデュプイ エリック・絵里子さまご夫妻です。
ユマニチュードを通じた優しさが伝わるケアの広がりを身近なところから地域社会へ
エリックさんは東京都杉並区で、地域に拓かれた交流と発信の場であり、フランス語学校を併設したレンタルスペース『アトリエ・ハコ』を運営されています。
そもそもなぜお二人はユマニチュードに関心を持たれたのでしょうか。
絵里子さん 考えてみると3つの出来事がきっかけになっているように思います。まず『ケア』について考えるきっかけを与えてくれたのは、2020年に亡くなった義母と、最後に過ごした時間だったと思います。亡くなる3ヶ月前に約1ヶ月ほど一緒に暮らしました。認知症ではなくても、視力、聴力の衰えから認知機能が落ち、日々できることが少しずつ限られていく中で、何をしたら彼女が心地よく感じてくれるか、笑顔を見せてくれるかを考えた時間でした。ただ、その時はユマニチュードの存在は知らず、今思うと、もっと彼女を楽にしてあげられる方法がたくさんあったのでは、と悔いが残ります。
2つ目は、実母が外科手術を受けた際に、家族としてサインを求められた身体拘束への同意書です。実際には拘束が行われるような状況にはなりませんでしたが、これが私達の唯一の選択肢なのか?とショックを受けました。
3つ目は、20年来のフランス語の生徒さんが、今年の初め認知症と診断されたことです。症状は日々顕著になり、混乱されているご本人にどう接したら良いのか。自分達には知識がないことを実感しました。
ご家族の介護や認知症を身近に感じる機会によって、ユマニチュードへ関心を寄せてくださったデュプイさんご夫婦。対象は「認知症」だけではなかったと言います。
絵里子さん 『認知症の方とのコミュニケーションの技法』ということはもちろんですが、それだけではなく、ユマニチュードの哲学が広く浸透し、人としての尊厳を保ちながら最後の日を迎えられる社会が、少し先の未来にあったら良いな、と思います。そのために自分達は何ができるかな?と。そこで、今回のキャラバンは“最初の一歩!“という思いで開催させていただきました。
実際に地域の方を集めたキャラバンを開催し、動画で事例を見ることで再度理解が深まり、参加者との繋がりもできたそうです。キャラバンが終わった後、会場に残って少し話し合いをしたり、その後でアトリエに来てくださる方もいる。今まさに介護中の人もいれば、知識として知りたい人もいて、話し合うことでお互いヒントを得られたと実感されているそうです。
エリックさん ユマニチュードの良いところは、できることを奪わずに「何ができるか?」を考えそれをサポートしていくところだと思います。Try & Errorですよね。
参加者の皆様から寄せらせた感想
― 初めて学ぶ人でも分かり易かった。交流会では、皆それぞれ不安があり、自分だけではない、ということが共有できてよかった。
― 母の介護をしていて「こうするべき」とか「残された時間は限られている」と思っても、肉親だからこそ難しいと感じる時があります。そこにもし『技術』があるのなら知りたいと思いますし、今回拝見した事例からも多くの学びがありましたので、より多くの事例を知りたいと思いました。
取材を終えて
エリックさんはキャラバンの後、88歳のフランス語の生徒さんが入院された際に、感情記憶にふれる関わりをすることで、フランス語の歌の最後の一言を聞くことが出来たのだそうです。
また、絵里子さんのお母さまは現在88歳。お元気で介護は不要なものの、手を出したくなる場面もあるそうで、そんな中でも『できることを奪わない』ことを心がけているのだとか。急いでいるときなどは特に『言うは易し、行うは難し』の状況の中、ちょっとだけ立ち止まって、「それは必要?」と自分に問う機会ができたことは大きな一歩。これからも地域に「優しさが伝わり合う」関係を広げていただけたらと思います