【福岡市 認証事業】ユマニチュード導入施設の事例発表・座談会 開催レポート

福岡市は、認知症コミュニケーション・ケア技法「ユマニチュード®」を通じた質の高いケアによって、認知症の人の生活の質の向上を図り、また、介護者の精神的・身体的な負担軽減を図ることを目的として、ユマニチュードの導入を目指す高齢者施設等の取組みを支援しています。

2025年3月18日(火)、福岡市認知症フレンドリーセンター(中央区舞鶴2丁目5-1 あいれふ2階)にて、既にユマニチュードを導入している高齢者施設より導入による変化についての発表と、本田美和子当学会代表理事と来訪中のユマニチュード考案者イヴ・ジネスト先生を交えた座談会が開催されました。福岡市内の高齢者施設、医療機関、医療・介護の専門職等 約40名の方が参加され、多くのマスコミも取材に訪れました。

事例発表

令和5年度からユマニチュード認証に取り組んでいる福岡市の2施設より、ユマニチュード導入による変化などの事例発表がありました。

特別養護老人ホーム「りんごの家」

特別養護老人ホーム「りんごの家」施設長の草場進さんから以下について発表がありました。

・『施設紹介』
・『りんごの家が掲げている理念』
・『ユマニチュード認証の取り組みを決めた背景』
・『具体的な取り組みについての紹介』
・『取り組み後の変化』
・『今後の課題』

『取り組み後の変化』では、入居者はスタッフが来ることを心待ちにし、入居者さんからの発信・言葉数も増え、フロア全体の雰囲気が明るく、以前に増して穏やかな雰囲気になったことや、介護拒否のある方の協力動作がみられるようになったこと、そしてスタッフの離職者が減り、働く環境にもプラスになったと、嬉しい効果の報告がありました。


りんごの家 草場進さん

介護付有料老人ホーム「フェリオ百道」

市内初のブロンズ認証施設である介護付有料老人ホーム「フェリオ百道」のホームマネージャーで介護福祉士の佐藤光一さんから以下の発表がありました。

・『施設・特徴・活動について』
・『ユマニチュードを取り入れた背景』
・『ユマニチュードの取り組み・浸透させる取り組み』
・『事例発表』
・『さいごに』

『ユマニチュードを取り入れた背景』では、介護度が高い方、認知症の方の対応に悩み、昼夜のナースコールに追われたスタッフへの負担が離職原因の一つになっていた頃、施設スタッフが福岡市のユマニチュード市民講座を受講したことがユマニチュードとの出会いであったこと、そして現在は、福岡市初のブロンズ認証施設になり、フロントランナーとして技術を深めていくとともに、普及にも努めていきたいという報告がありました。


フェリオ百道 佐藤光一さん

座談会

事例発表に登壇した2事業所と考案者のイヴ・ジネスト先生、本田美和子当学会代表理事を交えた座談会では、「ケアギバーが一方的に与える人と考えがちですが、相手の反応、相手の変化というギフトをもらっています。それは届けたいケアをうまく届けられたということで、それが仕事の喜びにつながっていると感じました」と本田代表理事。「高齢者施設に入ると、これまでの日常、権利が失われています。施設に入っても、自分の家でしていたように過ごせること、人の権利をもって、最後の日まで暮らすことが出来ることが重要です。福岡市の取り組みや施設で取り組んでいる方々で、そのような場を作っていくことが大事ですが、そのための教育の場をつくることも大事だと思います。」と、イヴ・ジネスト先生からの発言がありました。


座談会の様子

本田美和子先生、イヴ・ジネスト先生

最後に福岡市福祉局ユマニチュード推進部笠井浩一部長から、これまでの取り組みによって、福岡市民のユマニチュード認知度が、19.0%から、40.5%となっている現状と、令和7年度も施設・病院等にユマニチュードを導入する支援を行っていく予定であることが発表されました。


福岡市 笠井浩一部長

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