ユマニチュードの5原則と認証制度

誰もが自律(自分で決める)と自立(できることは自分で行う)を 実現させることができる暮らしを支えるために。

ユマニチュードは自分のことは自分で決める「自律」を最も重要な価値と考えます。自分で決めたことが身体的に行えなくなったときに、本人の決定したことを実現するための援助を行うのがケアの専門職の仕事です。本人ができることはすべて本人に行ってもらう「自立」は「本人ができることを奪わない」ことを原則とします。ケアの場(病院・施設・家庭・地域)においてこの「自律」と「自立」を実現することをユマニチュードは目指しています。

フランスでは700を超える病院や施設がユマニチュードを導入していますが、自分たちの施設の客観評価を求める動きが生まれ、2013年よりユマニチュード施設認証制度が始まりました。この制度はユマニチュードが掲げる5つの原則が実現されているかどうかの観点から、約350項目の評価項目について自己評価と第三者評価の2段階で検討し、達成できていると判断されるとユマニチュード認証施設として認定されます。

現在、フランスでは25施設がユマニチュード認証施設として認定されており、80以上の施設がその準備を進めています。

5原則とは、以下の通りです。

  • 強制ケアをゼロにする。しかし、ケアを諦めない
  • 本人の唯一性とプライバシーを尊重する
  • 生活の場、自分の行いたいことができる場である
  • 組織が外部に対して開かれている
  • 最期の日まで自分の足で立って生きる

ユマニチュード認証がもたらすもの

ユマニチュードの5原則を実現するための取り組みは、長期的な計画を必要とします。それでもなお、フランスで認証取得をめざす施設が増え続ける理由は、経営者が施設の運営に必要不可欠であると考えているからです。

2019年の第1回日本ユマニチュード学会総会で基調講演を行ったフランスの療養施設経営者エドゥアール・ロビエスさんは「ユマニチュードは、入居者、働いている人、経営者の皆が理念を共有するアプローチによって、施設の文化を作り上げることを可能にする。ユマニチュードの導入によって入居者の生活の質を高めることが、入居率の定常的な向上、職員の離職率低下、採算性の向上による再投資の実現と好循環を生む」と語りました。その施設のゼネラルマネージャーのジャン・シャルル・デュプイさんは「ユマニチュードはその方法や技術、哲学が素晴らしいだけでなく、私たちを自由に解放してくれた。様々な創意工夫、才能を活かし、施設の中でやってもいいことが増え、職場がとても楽しい場へと生まれ変わった」と語りました。コミュニティーにおける評価が上がり、利用者と職員の双方から「選ばれる施設」となることが施設運営の観点からユマニチュードを導入する大きな理由となっています。

 


2019年 第1回日本ユマニチュード学会総会
(左)エドゥアール・ロビエスさん(中)イヴ・ジネスト先生(右)ジャン・シャルル・デュプイさん

 

日本においてもユマニチュードを実践している専門職の多くが「仕事が楽しくなった」「自分がやりたいと思っていたことはこれだった」などの感想を寄せてくださっています。さらに、「ユマニチュードを導入している施設に家族を入居させたい」「ユマニチュードを導入している病院を紹介してほしい」「看護師/介護士だが、ユマニチュードを実践している病院で働きたい」などのお問い合わせをいただいています。これらをふまえ、「ユマニチュードを正しく実践している」ことをフランスと同様に日本でも保障できる仕組みづくりの必要性を痛感したことから、現在「日本版・ユマニチュード認証制度」の準備を進めています。日本版認証制度は2021~22年度内の開始を予定しています。