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ユマニチュードの絆vol.5 「生活の場」 | 日本ユマニチュード学会|人間らしさを尊重したケアを共に社会へ

ユマニチュードの絆vol.5 「生活の場」

ユマニチュード考案者イヴ・ジネスト先生、ロゼット・マレスコッティ先生からのメッセージ連載

本内容はフランスのユマニチュード導入施設向けに配信されるニュースレター「ユマニチュードの絆」より転載したものです。ユマニチュード開発に至る経緯やジネスト先生たちの考えを知っていただく一助になると嬉しいです。

 

「生活の場」

ほんの何年か前に「夢」と思われていたことが、今日では現実になっています。「ユマニチュードの哲学」をガイドとして用いる施設が段々と増え、「生活の場」と私たちが呼ぶものを生み出しているのです。「生活の場」とは、「自律」、「市民権」、「自由」を尊重するケアの提供に価値をおく場所。脆弱な高齢者が入りたいと願い、何も失うものの無い場所でもあります。では、一体どうやったらそれを生み出すことが出来るのでしょうか?単純なことではありません。

私たちは、計画推進のため、施設の方々に、以下のようなステップを提案します。

  1. 入居される方が、施設入居により失う恐れがある事と強制される不都合な事について考えてみましょう。
  2. 「生活の場」から得られる価値を定義し、施設内に掲示しましょう。
  3. 「生活の場、したいことが出来る場」を生み出すために、掲示された価値と実践している内容に隔たりが無いようにしましょう。

「自律」とは自分自身で管理する能力、つまり「自分の行動を決めることができる」能力と定義されます。いわゆる「依存」は、生活における行動(身体的、心理的あるいは社会的行動)を他人の助けなしに実行することが部分的ないし完全に不可能になることと言えるでしょう。つまり、依存は「出来る」ということの意味を問いかけます。自分が決めた行動を実現するために、ひとは誰かに「依存する」ことができます。

ケア・介護のプロは、ケアされる方の自律に役立つための存在です。ケアされる方に寄り添い、ご本人が自分ではできないことを実現することを助けます。

私たちの役割は、脆弱な方々がしたい事を何より優先してケアを推進することです。

私たちの賭けです。施設で働き、他と異なるケアをし、権力を手放し、優しさを与え、注意深く聞き、一人ひとりに寄り添って、したい事や楽しみの実現、人生の最後までその方の「人生を生きる」ことを実現する手助けをします。

生活の場の構築は、施設計画の基幹として策定されます。生活の場という掲示された価値と入居者の健康を損なわないようなケア技法を尊重しなくてはなりません。各部署、各ケア従事者が協働して、施設計画と入居者各人の生活計画に記載されたことに、同時に応えなくてはなりません。「ユマニチュードの哲学®」と「ジネスト・マレスコッティのケア技法®」は、あなたがこれらの計画を実現させるために具体的に役だちます。

以下は、ユマニチュードにおけるいくつかの生活の場の原則です。

  • ・強制ケアはしない。ケアをあきらめない。
  • ・抑制は最小限に留め、それを補う計画策定を義務化し十分な根拠を示す。評価の厳格化と記録。
  • ・立って生きる・死ぬの原則:移動を自由にし、一日のどの時間にも立つ機会を作れるよう検討する。
  • ・自分の家、家族、性生活の尊重。
  • ・個々の睡眠時間の尊重。
  • ・楽しい、食べたいと思える時間としての食事を整える。
  • ・ケア従事者の「ユニフォーム」を廃止する。
  • ・「高齢の成人」として、社会的生活を確立するために一人一人にフィットした、選択可能な生活活動。
  • ・施設を外部へ24時間オープンにし、家族や友人を迎え入れる…

ケア従事者、専門家の皆さん、高齢者の「陽だまり」になり、施設で働く人もそこに住む人もひとつの家で幸せに過ごせるように優しさの絆を創りましょう。

それが、ユマニチュード認証の賭けでもあり、施設や先行機関に導入していきます。この試みが翼を広げることに賭けましょう!

ロゼット・マレスコッティ

イヴ・ジネスト

Le Lien de l’Humanitude より

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