ユマニチュードの絆vol.9『ユマニチュード®認証制度:持続可能で、質の高い生活と質の高い職場のために欠かせない道具』
ユマニチュード考案者イヴ・ジネスト先生、ロゼット・マレスコッティ先生からのメッセージ連載
本内容はフランスのユマニチュード導入施設向けに配信されるニュースレター「ユマニチュードの絆」より転載したものです。ユマニチュード開発に至る経緯やジネスト先生たちの考えを知っていただく一助になると嬉しいです。
「ユマニチュード®認証制度:持続可能で、質の高い生活と質の高い職場のために欠かせない道具」
「私の愛しい子、妹よ、
あの甘やかさを想っておくれ、
彼方に行き、一緒に暮らすんだ!
思いきり愛し、
愛し、そして死ぬ、
君に似たあの国で!
「旅への誘い」シャルル・ボードレール
皆さんの施設やサービスで、ユマニチュード認証制度取得に向けた準備プロジェクトが作られ、実施されることと思います。もしかしたら、既に開始された施設もおありかもしれませんね?誰もが経験することですが、プロジェクト管理は複雑で、初期の段階からこのプロジェクトを持続可能な取り組みとして計画することがとても重要です。皆さんは入居者にできる限り質の高い最良の生活を提供することを選択なさいました。ユマニチュード研修を通じてこのプロジェクトを実践してください。
私たちは、「ユマニチュード®の哲学」をもとに、いかなる困難な状況でも優しさの絆を保つことができるおよそ150の技法を開発しました。
ユマニチュードは、「知覚の連結」と「関係性に基づく技術」に基づいた、一連の技術を集約しています。「見る」、「触れる」、「話す」は、従来のケアでは忘れられがちですが、ユマニチュードでは関係性の中心に位置するものです。ケアを二者の関係性の中に位置づけ、ケアする側もされる側も関係性を意識してケアを行います。
「ユマニチュード®の哲学」は介護・看護専門職の役割を定義しなおし、調和の中でケアを行い、専門職が持つ権力を手放すよう提案しています。私たちが提案するケア技法は科学的研究によって評価され、困難なケアの83%が穏やかなケアに転換されていることがわかりました。しかし、プロジェクトはケア技法だけにとどまりません。ユマニチュード®の5つの原則は、入居者やケアを受ける人がより質の高い生活を手に入れ、ケア専門職がより質の高い職場を手に入れることができるように考案されました。
・強制ケアはゼロにする。しかし、ケアをあきらめない
・本人の唯一性とプライバシーを尊重する
・最期の日まで自分の足で立って生きる
・施設が外部に対して開かれている
・生活の場、やりたいことが実現する場をつくる
皆さんのプロジェクトに明確なビジョンと目的を定義することで、プロジェクト成功の可能性を最大限に高めることができます。
現在、4施設がユマニチュード®認証を取得済みです。(2015年現在。2022年1月現在26施設)すべての施設がメディアや雑誌・テレビ等から取り上げられ、推薦に値する施設であることが一目瞭然となっています。50施設(2022年1月現在120施設)が認証取得準備段階で、SSIAD(フランスの社会保障制度の一つである「訪問看護サービス」)も認証取得に向けて進んでいます。皆さんの施設も取り組みませんか?もしその意志があるならば、認証取得に向けて歩き出しましょう。
何故認証制度が必要か?
設定した目的に達したかどうかの評価をする必要があり、それを持続しなければならないからです。しかし、評価というものは往々にして難しいものです。プロジェクトを立ち上げたけれど評価をしなかったり、他のプロジェクトに置き換わったりということがよくあります。組織が一般的にこのような動きをする理由は、おそらく評価が複雑になってしまっているからでしょう。私たちは、皆さんのプロジェクトを効果的・客観的に評価するお手伝いをします。
Assumevie協会はユマニチュード®認証制度を創設しましたが、この組織を構成しているのは良いケアを目指しコミットする医療社会福祉施設や保健サービスの経営者、医師、医療現場のマネージャーらのグループです。私たちはAssumevie協会と共に、法律に則り、ツールを用いた評価方法を確立しました。
Assumevie協会に登録して評価ツールを利用することで、認証取得に取り組む施設は、一歩一歩、自らが求めるものを確かめ、施設で実施可能な形に調整することができます。時間をかけて明確なプロジェクトを作り、評価ツールを使って一つ一つの設定目標をクリアしていき、継続的に評価することを通じて、徐々に希望する変化を実現していくことができます。
私たちは皆さんをサポートするためにいます。そして、皆さんに期待をしています。
認証取得への旅に出かけましょうか?
認証をめざすチームに登録してください。皆さんを仲間としてお迎えすることをうれしく思います。
ロゼット・マレスコッティ
イヴ・ジネスト
Le Lien de l’Humanitude より
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