第2回サポーターズレター 横山由美さん(東京都)
ユマニチュード認定サポーター
サポーター講座を受けた動機
私は6年前から高齢者施設で対話型絵画鑑賞会のファシリテータを行っており、それはMoMA(ニューヨーク近代美術館)のアルツハイマープロジェクトを基盤としたものなので、認知症に対する初歩的な知識は学んでいました。ユマニチュードについても耳にしており、一般を対象とした講座を是非受講してみたいと思っていましたが、コロナ感染が拡大し講座は休止となっていました。
そのコロナ禍、父の認知症が進行してグループホームに入所することとなり、認知症に対する、より一層の理解と対応が必要となりました。握手ではじまり握手でまたね。が毎回の父との面会
思い余って事務局へ問い合わせをしてみたタイミングで、ついに!数年来の希望であったオンラインで受講できる「市民・家族のためのサポーター講座」の受講が叶いました。
サポーター講座を受けた感想
サポーター講座では、講師や参加者の皆さんと双方向でのやり取りをしながら進行していき、本や動画で一方的に受け取る学習よりもずっと効果的でした。
サポーター講座を受けた、前と後の変化
サポーター講座受講後、「見る」「話す」「触れる」の3つの柱は、父に対しても、施設での対話型鑑賞会参加の皆さんにも行っています。
受講前との変化が顕著に見られたのは、既に信頼関係のできている父というよりも、鑑賞会の皆さんです。鑑賞会では全員で同じ絵を見ながら、思ったこと、感じたことを自由にお話いただきます。
対話型絵画鑑賞会の様子
それまでは首を横に振るだけや「わからない」とおっしゃっていた方々が、開始前に3つの柱を使ってお迎えするようになってから、心を開いてご自分の意見を積極的にお話して下さるようになりました。その驚きの効果に加えて「この場では何を言っても受け入れてもらえて嬉しい」とのご感想までいただき、ユマニチュードで接する時間が楽しみになっています。
サポーターズサロンについて(皆さんとの意見交換をして)
加えて有意義なのはサポーターズサロン。講師の先生、インストラクターの方々、ドクター、ご家族の介護で同じような経験をされている皆さんとの意見交換や貴重なアドバイスは、悩んでいるのは自分だけではないと大いに励まされます。
ユマニチュードについて思うこと
ユマニチュードはイソップ童話の『北風と太陽』のようです。
信頼関係は人としての尊厳を尊重し合うことで築かれ、その結果コミュニケーションが成り立ちます。信頼関係なくしてコミュニケーションが成り立つはずもありません。
ユマニチュードの哲学は、介護や看護の場のみならず人間関係の根本と思われます。
更に現場経験に裏打ちされた信頼関係構築のためのテクニックが示されて誰もが実践ができるよう体系化されており、単なる理想論ではありません。
コミュニケーションが困難と思われる方々の上着を、北風ではなく、暖かい太陽の日差しで脱がせて差し上げることは人道的かつ合理的で、1日も早くグローバル・スタンダードとなることを一当事者家族として切に望んでいます。折しも4月1日から事業者による障害者への合理的配慮提供の義務化が施行されますが、ユマニチュードは「意思疎通への配慮」の実現にも非常に有効であると思われます。