第6回サポーターズレター 木築裕彦さん(神奈川県)

ユマニチュード認定サポーター

脳神経外科 医師(日本認知症学会 専門医・指導医)
サポーター講座を受けた動機
私は脳神経外科の医師で、手術の後などに「せん妄」と呼ばれる状態になってしまう患者さんを多く目にしてきました。なんとかしたいと考えて認知症の勉強を一所懸命してきました。その中で、ユマニチュードの書籍に出会いました。出会いは書籍でしたが、本当に貪るように読み、自分なりに実践しました。実践しつつ「もっと勉強したい」と考え、日本ユマニチュード学会に参加し、サポーター講座を受講しました。
サポーター講座を受けた感想
書籍を何冊か読んで、自分では分かったつもりになっていたことが、実は不十分だったのだと気付きました。このことはユマニチュードに限ったことではないとは思いますが、「分かったつもりになっているだけでは実は不十分」で、その結果、「自己流になってしまって」いることが実はたくさんあるので、それを「きちんと勉強して正しく使えるようになること」には、本当に大きな価値があるのだ、と痛感しました。
サポーター講座を受けた、前と後の変化
講座を受ける前との最も大きな変化は、5つのステップ(1. 出会いの準備、 2. ケアの準備(合意を得るプロセス)、 3. 知覚の連結、 4. 感情の固定、 5. 再開の約束)を意識して行う様になったことだと思います。自己流から少し脱却できたのではないかな、と感じています。
サポーターズサロンについて(皆さんとの意見交換をして)
可能な限りサポーターズサロンに参加する様にしています。他のサポーターさんとお話しをすることで、他の皆さんも同じように苦労されていることが分かり、また、他の皆さんも私と同じように工夫されているのをうかがって、私自身が苦労していることや工夫していることが、「間違っていないんだ」と感じられて、とても勇気をもらえる場になっていると感じています。
ユマニチュードについて思うこと
「あなたのことを大切に思っています」というメッセージは、実は「伝えるという行動に移さなければ伝わらない」こと、なのだな、と感じています。ユマニチュードは、「伝える」ために必要なプロセスを、誰にでもできる形に体系化した、とても優れた技法だと思っています。ユマニチュード以外にも、対人関係を良いものにする技術が多くありますが、他の技術でも大切に扱われている精神は、ユマニチュードと通じるものがあると感じています。「知る」、「分かる」だけではなくて、実際に「行なう」というプロセスを恥ずかしがらずに行動に移すのだ、という大切なメッセージをユマニチュードに教えてもらったと感じています。
最後に一言
ナースステーションの本棚に、誰でも手を伸ばして読める様にこれらの書籍を並べてあります。ユマニチュードに気軽に触れて貰うためです。

貸し出しも可にはしてあるんですが、そうすると、しばしば返って来なくて本棚が歯抜けになります。
そうなったら「なるほど、気に入って読んでくれてるのね」と判断して新しく買いなおして歯抜けのところにまた並べておくんです(笑)