訪問看護をしています。ユマニチュードを実践していますが、上司から「そんなことはしないでいい」と言われてしまいます。
「現場での課題共有会」より
会員限定コミュニティ「雨宿りの木」にて、医療・看護・介護などケアの現場で働く会員の皆さまと語り合う「現場での課題共有会」が2月からスタートしました。この会に寄せられた実践者ならではの悩みや疑問に、ジネスト先生、本田美和子代表理事が回答した解決策やアドバイスを皆さまと共有いたします。ご活用ください。
※参加者の皆さまのプライバシーに配慮し、実際の内容を一部変えている部分があります。
Q.マニチュードを実践していますが、上司から「そんなことはしないでいい」と言われてしまいます。
訪問看護をしています。ユマニチュードで接すると利用者さんが安心して笑顔になってくださるのが嬉しいのですが、現場での滞在時間が短いため、上司から「そんなことはしないでいい」と言われてしまいます。
A.良いケアを届けるためユマニチュードをぜひ続けて下さい
「ユマニチュードなんてやっている時間はない」という言葉は世界中でよく聞く言葉ですが、実は全く逆です。私たちの調査では、ユマニチュードに基づいた仕事をすると3時間かかる仕事のうち35分、つまり約6分の1の時間が短縮できるという結果があります。
例えば、福岡市消防局で救急隊がユマニチュードを取り入れるプロジェクトを行っているように、救急搬送という緊急事態でもユマニチュードは役に立っています。「ユマニチュードは時間がかかる」とおっしゃる方は結局のところユマニチュードがどういうものかご存知ないのです。
ユマニチュードを専門職の方へ教えるとき、技術的なことはもちろん必要ですが、それを最初にしてしまうと、相手に対してその技術を一方的に行ってしまう、「ケアをしてあげます」という権力を一方的に発動する関係に陥りかねません。
ユマニチュードは相手との良い関係を結ぶ技法です。おっしゃっているように、相手の笑顔を引き出すことができます。「ユマニチュードをする時間がない」ということは、「私たちは良いケアをする時間がありません」と言っているのと同じです。
ユマニチュードが必要だと考え方を変えてもらうことは難しいですが、あなたはぜひユマニチュードを実践し続けて下さい。以前、夜勤の誰も見ていないときにユマニチュードをやって、認知症の方とコミュニケーションを取り、穏やかに過ごしてもらえているという看護助手の方のお話を聞いたことがあります。
大切なことは、相手が穏やかでにこやかになれるかどうかということで、私たちはそれを実現するためにいるのです。ぜひ、ユマニチュードを今後も続けていただけたらと思います。
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