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第2回日本ユマニチュード学会総会が開催されました。(ダイジェスト映像配信) | 日本ユマニチュード学会|人間らしさを尊重したケアを共に社会へ

第2回日本ユマニチュード学会総会が開催されました。(ダイジェスト映像配信)

 去る9月26日、第2回日本ユマニチュード学会総会をインターネットによるオンライン配信にて開催いたしました。今回のテーマは「ユマニチュードが挑むケア・イノベーション」。発表者のいる福岡市の会場と全国の参加者の皆様を繋いで、生存科学研究所との共催による市民公開講座、第一期定時社員総会、学会総会の3部構成のプログラムで、ユマニチュードが拓く未来を語り合いました。  

ダイジェスト映像

 

 第1部は、自治体としてユマニチュードを採択している福岡市の取り組みを紹介する市民公開講座「福岡市から始まり広がる認知症フレンドリーシティ」。前半は、世界で初めて救急搬送の現場にユマニチュードを導入した福岡市消防局警防部救急課の財部弘幸・救急指導係長、ユマニチュード考案者のイヴ・ジネスト先生が基調講演を行いました。

 財部係長は、福岡市の救急事案による年間出動件数が約8万件、そのうち65歳以上の高齢者が半数を占め、認知症の人のも増えているという現状を説明。ユマニチュードを学んだ救急隊員は患者への共感度が上昇するという検証結果を示し、「(ユマニチュードを実践することが)患者とその家族の安心につながり、救急活動がより円滑に進むと考えられます。今後もユマニチュードの研修を続け、認知症に優しい街づくりの実現に貢献して行きたい」と救急現場でのユマニチュードの有効性を訴えました。発表内容は、こちらのURL(Youtube【第2回日本ユマニチュード学会総会】基調講演:『世界初!福岡市救急隊におけるユマニチュードの取り組み』)からご覧いただけます。


 ジネスト先生はフランスのご自宅から参加。これまで福岡市で出会った家族介護者の皆様のユマニチュード実践の様子をビデオで紹介しながら、「ユマニチュードは人と人をつなぐ絆の哲学です。どうやって絆を作るのか、絆がなければ私たちは存在できなくなってしまうことを教えてくれます」と話しました。またCOVID-19の蔓延する現在の状況について「私たち人間が生きるためには愛情と自由の二つのことが重要です。この困難な時期にも、勇気を持って自分の愛情を自由に表現し、愛情を受け止める環境を作っていきましょう」と呼びかけました。

 市民公開講座後半のパネルディスカッションには、福岡市でユマニチュードを実践している皆様が登壇。同市の原土井病院の作業療法士でユマニチュードインストラクターの安武澄夫さんを座長として、家族介護者の大津省一さん、ユマニチュード地域リーダーの松原弘美さん、福岡市保険福祉局高齢社会部の笠井浩一・認知症支援課長、日本ユマニチュード学会の本田美和子代表理事が、それぞれの取り組みとユマニチュードを普及するための課題を語りました。

 ユマニチュードを実践することで認知症の妻・信子さんとお互いの信頼感が増したという大津さんは、ユマニチュードの技術と哲学を「妻に普通の生活をさせて上げるための大事な宝物」と表現。認知症の家族を介護する方々が参加しやすくなるような方法や情報交換できる場が必要ではないかと訴えました。

 松原さんは同市の小中学校や地域の公民館でのユマニチュードの講座を担う地域リーダー。講座の参加者に若い世代が少ないことを紹介し「ケア技術というと30代、40代には伝わらないが、コロナと共生する時代には、マスクで顔を覆ったり、ソーシャルディスタンスを取っていても、アイコンタクトができたり、マスクの下に笑顔があれば相手に伝わるものが違うと思う。優しさを伝える、優しさを考える技術として、若い世代に広げることが世代の壁を破る一歩になるのでは」と提案しました。

 「認知症フレンドリーシティ」を推進する立場の笠井さんは、「大津さん、松原さんからたくさんの宿題をいただき、これは福岡市への期待と思います。我々が掲げているのは認知症のサポートではなく、認知症フレンドリーシティ。認知症の方々を支えるだけでなく、社会の仲間として活躍できる一員として、一緒に楽しい社会を作ることを目指して、これからも取り組んでいきたい」と応えました。(福岡市の取り組みについて詳しくは「自治体におけるユマニチュード」をご覧ください。

 学会総会では、自閉スペクトラム症の母子のコミュニケーションにユマニチュードを取り入れた研究など、ユマニチュード実践に関わる八つの研究成果、事例報告が行われました(詳しくは抄録集(PDFファイル)をご覧ください)。本田代表理事は、2年目を迎えた学会の運営について、オンラインの会員限定サロン「雨宿りの木」を拡充し「それぞれの現場でユマニチュードを実践されている会員の皆さまが繋がれる、相互交流の場を増やし、より良いケアについて皆で考え、実現していきましょう」と抱負を語りました。

 また、第一期定時社員総会では、2019年7月1日から2020年6月30日の第一期事業報告、2020年7月1日から2021年6月30日までの第二期事業計画の二つの議案が正会員(社員)157名の過半数の賛成により可決されました(議案について詳しくは2019年度第一期定時社員総会をご参照ください)。

 


 

第2回日本ユマニチュード学会抄録集

抄録集をこちらからご覧いただけます。
第2回日本ユマニチュード学会抄録集(PDF)』

 

参考資料

福岡市の高島市長よりご紹介のあった「認知症の人にもやさしいデザインの手引き」は、下記からご覧いただけます。

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