福岡市が2017年より取り組む、人生100年時代に向けた100のアクション「福岡100」。その一つとして福岡市は、認知症の人やその家族がいきいきと暮らせる、認知症にやさしいまち「認知症フレンドリーシティ」を目指し、ユマニチュードの普及啓発に取り組んでいます。

今年から、この事業のパートナーとして、日本ユマニチュード学会が全面的に参画しました。

そしてこの度、福岡市の依頼を受けて、より多くの市民の方がユマニチュードについて興味を持ち取り組むきっかけとなるよう、ユマニチュードに関する30秒のプロモーション動画を制作しました。

まずはその動画をご覧ください。

ディレクターを担当いただいた高橋夏子さんにお話をうかがいました。

高橋さんは、日本ユマニチュード学会設立時から継続して、ユマニチュードに関する様々な取組みを記録されている映像ディレクターです。研修の記録撮影、学会総会のオンデマンド配信、認証制度のパイロット事業の紹介など、その活躍は多岐にわたっています。

ユマニチュードとの関わり

高橋さんご自身も、義母の介護を経験されています。そこでユマニチュードと出会ったことで、温かいやり取りをすることができ、関係性がとても良くなったそうです。相手を思う気持ちと、それを届ける技術が結びつく手段がユマニチュードだったのでしょう。ご自身が自らユマニチュードの効果を体感されています。

今回の動画制作にあたって

普段は30分〜2時間程度のテレビ番組や映像作品を手掛けることが多い高橋さん。今回の動画は、たった30秒という、短いの一言では片付けられない、別世界の作品を作るかのようで、どういう組み立てにするか非常に悩まれたそうです。そこで注力されたのが「視覚で伝えるイメージ」。

高橋さん曰く、ユマニチュードは「映像向き」なのだとか。言葉で意思疎通できないなど難しい関係性が、ユマニチュードの技法を用いることで、お互いに通じ合う、温かい関係性に変わっていく様子が目に見えて伝わるからだそうです。

30秒という限られた時間で集中したことは2つ。一つはユマニチュードを「知ってもらうこと」、もう一つは「だれにでもできるんだと感じてもらうこと」。そしてユマニチュードならではの効果や力を、「モノクロの世界が色のある世界に変わる」という映像効果で見事に表現されました。

ちなみに、今回の動画に出演されている方々は全員、一般の方だそうです。認知症の方が迷子になった状態をどうイメージすればいいのかしら…?という時には、「外国に行った時の状況をイメージしてみる」と、本田代表理事からアドバイスがあったそうです。見たこともない景色、言葉も理解できない状況での不安感は計り知れません。そんな時、ユマニチュードの技法で見つめられ、声をかけられ、手を差し伸べられると、、、モノクロだった気持ちがパッと色鮮やかな世界になる!ということなんですね。

さいごに

高橋さんがユマニチュードへの思いをお話してくださいました。

「ユマニチュードは、認知症のケア技法と紹介されることが多いのですが、ユマニチュードを皆が知って実践することで、相手が認知症であるか否かに関わらず、お互いの存在を尊重し合う、誰もが生きやすい街になっていくと思います。ユマニチュードの技法を身につけることで、自分にとって難しいコミュニケーションも上手くいくようになるかもしれない。そういうきっかけになれば良いなと思います。」

福岡市のユマニチュード事業についてお伝えする30秒の新作動画が完成しました。

短い時間となりますが、ユマニチュードの意義を皆さまに感じていただけると嬉しく思います。

ぜひ、ご覧ください!

日本ユマニチュード学会第4回総会を2022年9月24日25日の両日にわたり京都大学国際科学イノベーション棟シンポジウムホールにて開催し、後日、録画版をオンデマンド配信いたしました。ご協力いただきました皆さま、ご参加くださった皆さまに改めてお礼を申し上げます。

新型コロナウイルスの影響もさることながら、前日からの大雨により交通機関に乱れが生じ、多少ながらもプログラム内容の変更を余儀なくされました。しかしながら、皆さまのお力添えにより、無事に2日間の全プログラムを終了することができました。(第4回学会総会の詳細はこちら)

今回第4回総会のテーマは『優しいケアの仕組み〜ユマニチュードとサイエンス〜』。2017年に科学技術振興機構の戦略的創造研究推進事業(CREST)の研究テーマとして採択された『「優しい介護」インタラクションの計算的・脳科学解明』について、情報学・工学・心理学・医学・看護学などさまざまな分野の専門家が「ユマニチュードはなぜ有効なのか?」に関する研究を進めてきた、その成果を中心に、ユマニチュードに関する様々な最新の研究や取り組みについて発表がなされました。

1日目は、生存科学研究所共催による第10回市民公開講座として、2つの基調講演およびシンポジウムを行いました。基調講演1つめは、ユマニチュード考案者イヴ・ジネスト先生によるフランスからのオンライン講演でした。私たちが周囲から得る様々な情報はどのように脳に届けられているのか、「見る」「話す」「触れる」「立つ」の4つの柱の情報学的な効果は何かなど、ユマニチュードを通した幅広い観点から「優しいケアの仕組み」を解説されました。

基調講演2つめは、国際電気通信基礎技術研究所 住岡英信氏による「ロボット技術で目指す優しいケア」でした。ロボット技術の介護への有効性について、人形対話ロボットを用いた認知症高齢者へのコミュニケーション支援とともに、ロボット開発の中で培った技術を用いて、立ち上がり動作介助における「優しい介助」を計測し、理解する取り組みについて紹介されました。

続いて開催されたシンポジウムでは、科学技術振興機構の戦略的創造研究推進事業(CREST)研究テーマである『「優しい介護」インタラクションの計算的・脳科学解明』について、研究チームそれぞれの成果発表や全体討論が行われました。

また会場外のスペースでは、デモンストレーションとして、シンポジウムで発表された研究チーム開発のシステム体験が行われました。ユマニチュードの技術を評価するシステム、ケア中の相手との距離を簡便に計測するスモック型・マスク型センサー、拡張現実(AR)を用いたユマニチュード・シミュレーション教育システム、IT技術を使ってチームでユマニチュードを学ぶトレーニングシステム等を、実際に多くの方に体験していただくことができました。

こちらのデモンストレーションは、2日目も引き続き実施しました。

2日目は、まずは15演題の口頭発表が行われました。「分析調査」「導入効果」「実践事例」の3つのテーマに分かれ、ユマニチュードの実践、教育、研修効果、家族介護などに関する取り組み事例などについて、様々な立場・視点から発表が行われました。質疑応答を通じた意見交換も盛んに進み、学びを深めることができました。

続いて午後より、『ケアの見える化に取り組んだ郡山市医療介護病院の歩み』 と題して、2016年より6年に渡り、静岡大学情報学部協力のもと、自分たちのケアを撮影し映像学習を現場に取り入れている同病院の歩みをシンポジウム形式にて発表いただきました。数値化することが難しいケアを、サイエンスの力で見える形にし、それを再び現場にフィードバックすることで、ケアの現場にどのような変化が起こるのか、それぞれのお立場からお話を伺うことができました。

続けて最後のプログラムとして、「認証制度日本版」についての進捗報告が行われました。4月から開始された『ユマニチュード認証制度』。そのパイロット事業に取り組む20の事業所それぞれの意気込みが動画メッセージにて紹介されました。いずれの事業所も、「ケアの見える化」や「組織の取り組みの見える化」によって「よいケア・よい生活の場」実現に向けた意欲的な取り組みを進めており、スタッフの意識の統一・向上にもつながっているとのこと。加えて、パイロット事業所(認証準備会員)の一つである広島県広島市「ふじの家瀬野」のスタッフ3名が、パネルディスカッション形式で、それぞれの立場からの取り組み報告を行いました。学会と連携して行ったワークショップを通して、スタッフの共通認識が醸成されたことや、お便りや冊子など作成といったご家族への共有化の工夫など、具体的な取り組みエピソードが好事例として紹介されました。

過去2回の総会はオンラインでの開催でしたが、今総会は直接の意見交換やデモンストレーション等、実体験ができる場も設けることができ、より学びの深い会になったものと思います。会場内のスペースに十分な距離を置きながらも、2日間合計で延べ135名の会員、非会員のみなさまにご参加をいただくことができました。

【参加無料】市民向け・ユマニチュード講座「初めて知るユマニチュード」のお知らせ

福岡市にお住まいもしくは、通勤・通学されている方を対象に、下記の講座が開催されます!

認知症の人とのコミュニケーションをスムーズに行うケア技法「ユマニチュード」について知りたい、体験してみたい人のための講座です。

日程 令和4年12月3日(土)14:00~16:00
(開場:13:30~)
会場 福岡市 市民福祉プラザ(ふくふくプラザ)1階ホール
福岡市中央区荒戸3丁目3-39
※新型コロナウィルス感染症の発生状況によっては、オンライン開催等一部変更となる場合がございます。
対象 福岡市にお住まいもしくは通勤・通学されている方
講座内容 第1部「認知症の理解とユマニチュードの哲学に基づいたケアを学ぶ」
第2部「優しさを伝えるユマニチュードの基本技術を知る」
参加費 無料
申込方法 申込期間:2022年10月17日(月)~11月25日(金)
※申込期間は終了しました
定員 200名 先着順(定員になり次第 締め切り)
申込結果 2022年10月17日(月)以降、先着順で受け付け個別にご連絡いたします。
定員になり次第締め切りとなります。
お問合せ 一般社団法人日本ユマニチュード学会 福岡講座窓口
(電話)03−6427−5594(申し込み期間の平日10〜17時)
(メール)fukuoka@jhuma.org
主催
福岡市は、認知症になっても、住み慣れた地域で安心して自分らしく暮らせるまち「認知症フレンドリーシティ」を目指し、認知症コミュニケーション・ケア技法ユマニチュードの普及に取り組んでいます。

※当学会のメディア取材や広報・広告等の目的で、研修当日に撮影した映像・写真等を、雑誌・新聞・ウェブサイト・パンフレット等の媒体において利用する場合があります。

※申込期間は終了しました

第4回学会総会へ交通機関のダイヤの乱れ等の理由で会場にお越しになれなかった方のために、一部プログラムをオンデマンド配信いたします。

配信期間(予定):2022年11月1日(火)~2022年11月14日(月)

※事前に「第4回学会総会1日目・市民公開講座への参加のお申込をされた方」が対象となります。

第4回学会総会1日目・市民公開講座にて収録しました、下記のプログラムの映像を期間限定で配信いたします。(ジネスト氏の基調講演は対象外となりますこと、あらかじめご了承ください。)

基調講演『ロボット技術でめざす優しいケア』/住岡英信氏(国際電気通信基礎技術研究所)

シンポジウム『優しいケアのしくみ ユマニチュードとサイエンス」』

『研究成果のデモンストレーション』

お申込時に登録いただいたメールアドレス宛に、後日配信URL等をお送りさせていただきます。

配信期間・配信方法については変更の可能性がありますので、その場合はホームページ上でお知らせしてまいります。

2022年9月24日、25日に京都大学国際科学イノベーション棟シンポジウムホールにて開催しました第4回学会総会のオンデマンド映像配信を本日(2022/10/11)より開始いたしました。

配信期間:2022年10月11日(火)~2022年10月31日(月)


会員の方には、配信の視聴に必要な情報をウィークリーメールにてご案内いたしました。
ご確認の上、ぜひご視聴ください。

 

第4回学会総会のオンデマンド映像配信は、会員向けコンテンツとして期間限定で配信中です。配信期間中に新規会員登録された場合もご視聴頂けます。ご視聴を希望の場合は、会員登録をお願いします。

当学会は、医療・看護・介護などの専門職の方はもちろん、ご家族の介護に携わられている方やユマニチュードに関心のある方などどなたでも会員としてご参加いただけます。

ご参加を希望する方でまだ会員登録されていない方は、ぜひこの機会に登録いただき『雨宿りの木』にご参加ください。

詳しくは、「入会のご案内」をご覧ください。