2023年6月11日(日)、ユマニチュード認証授与式及びシンポジウムが行われました。

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当日は、会場に集まった関係者に加え、当学会会員や一般からの応募者約50名がオンラインライブ配信にご参加くださいました。会場には、晴れてブロンズ認証を取得した「ふじの家瀬野」から3名、「調布東山病院・病棟」から4名、当学会から代表理事の本田美和子、認証審査委員の南髙まり、認証事業担当理事の吉川左紀子が参加いたしました。

授与式及びシンポジウムの司会進行は佐々木恭子さん(フジテレビジョンアナウンサー)。佐々木さんは一昨年、認証事業の検討を進めた認証準備委員としても活動されていました。

授与式に先立ち、本田代表理事からご挨拶、ならびに認証事業の概要についての説明と、認証取り組み中の全国26の認証準備会員の紹介(2023年6月11日時点)が行われました。続いて、ブロンズ認証取得事業所への認証プレート授与の際、サプライズが起きました。当初オンラインでの参加予定だったユマニチュード考案者イヴ・ジネスト氏がプレゼンターとして会場に登場、会場は大きな驚きと歓声に包まれました。

続くシンポジウムでは、ふじの家瀬野から牧田さん、末広さんが、調布東山病院から福地さん、田邊さんが登壇し、認証取得までの道程について振り返りました。

認証への取り組みとその変化として、ふじの家瀬野からは、「ユマニチュードへの取り組みを職員一人ひとりが自分ごと化するよう心がけた。動画を活用してケアの見える化を行ったことで、関わり方に変化が出た。一方で、技術の正解がわからず、これは正しいのか?と悩みながら取り組んでいったが、最後の答えは入居者さまが教えてくれた」との声が寄せられました。

調布東山病院からは、「関わる人全員がユマニチュードを理解し取り組めているか、バラツキがあるのが課題だった。ノックについて入り口ドアに表示したり、患者さまへの接し方についての動画を作成するなど工夫し、ユマニチュードを実践することの意味と理由を伝えるようにした」との発言が寄せられました。

今後のさらなる課題として、ふじの家瀬野からは、「認証を取ることが目的ではなく、良いケアをすることが目的。自分が入居したい施設にしていきたい」との声が寄せられるとともに、調布東山病院からは、「難しいことではあるが、他職種スタッフ全員が毎日の習慣を変えていくことで、組織の風土を変えていきたい。部署ごとの実践レベルのバラつきをなくし、事業計画をもとにレベルアップしていきたい」と、双方からともに力強い目標が語られました。

最後に本田代表理事から、正しい技術を学ぶこととチームワークの大切さ、そして何よりもユマニチュードのことを好きになって諦めずに取り組みを続けてほしいとのエールが送られました。締め括りとして考案者のイヴ・ジネスト氏からは、「人と人をつなぐ、愛情がユマニチュード。ユマニチュードは平和の哲学。みんなで一緒に、より良い社会、より良い地球を作っていきましょう」と激励の言葉が贈られました。

⼀般社団法⼈ ⽇本ユマニチュード学会(東京都⽬⿊区、代表理事:本⽥美和⼦)は、⽇本初となるユマニチュード ブロンズ認証事業所として 2 事業所(グループホームふじの家瀬野、ならびに調布東山病院 5階・6階病棟)を決定しました。ユマニチュード認証は、フランス⽣まれのコミュニケーション・ケア技法「ユマニチュード®」を通じて、質の⾼いよいケアを実践している組織を、予め定められた評価基準の元に認証する制度です。本認証制度は、誰もがお互いの⾃律を尊重し幸せに過ごせる社会の実現を⽬指し、フランス本部との連携の下、⽇本ユマニチュード学会が 2022 年4⽉から⽇本での導⼊に取り組んでいます。

・ニュースリリース

「ユマニチュード®」とは

フランス⼈の体育学教師イヴ・ジネストとロゼット・マレスコッティが⽣み出したコミュニケーション・ケア技法です。1979 年以来 40 年以上の歴史を持ち、『ケアする⼈とは何かを考える哲学』と『その哲学を実現するための技 術』からなります。介護を必要とする⼈どなたに対しても有効に実践でき、ユマニチュードによって、介護される⼈の BPSD(認知症の⾏動・⼼理症状)の改善に加え、介護する側の負担感や離職率を改善させ、薬剤やおむつの使⽤量を減らすことによる医療費削減効果が報告されています。⽇本ユマニチュード学会では、ユマニチュードの効果とより良い活⽤⽅法を科学的に解明・実証するために、世界中の⼤学等研究機関の医学・看護学・情報学・⼼理学等の専⾨家と、さまざまな共同研究を進めています。

ユマニチュード認証制度とは

ユマニチュード認証制度は、ユマニチュードを通じて質の⾼いよいケアを実践している組織を、明確な評価基準を元に評価・育成・⽀援し、誰もがお互いの⾃律を尊重し、幸せに過ごせる社会の実現に寄与することを⽬指して⽣まれました。本部のあるフランスでは 2013 年にスタートし、現在までに 28 の事業所がユマニチュード認証(⽇本のゴールド認証に相当)を取得しています。⽇本では、2022 年 4 ⽉からパイロット事業として導⼊を開始し、このたび 2023 年 5 ⽉に、⽇本初となるユマニチュード認証事業所が 2 事業所誕⽣しました。

ユマニチュードの認証評価基準は、「5 原則」と「⽣活労働憲章」に基づいて定められています。
その特⻑は、下記の3点です。

1) ケアの質をわかりやすく可視化
2)⽇本の各種制度と連携
3) 取り組みの進捗を⾒える化

認証の種類には、「ブロンズ」「シルバー」「ゴールド(国際認証)」の 3 段階があります。取組む組織の種類によって介護系と医療系に分かれており、「ブロンズ」は共通の基準となっています。

認証の⼊り⼝とも⾔える 「ブロンズ」は、1)ユマニチュードに組織をあげて取り組む体制が出来上がっており、かつ 2)職員がユマニチュードの基本を理解し、実践に取り組んでいる組織に対して認証されるものです。ユマニチュードに組織を上げて取り組むことで、「⼊居者・患者・利⽤者」「職員・専⾨職」「経営者」の 3 者が、お互いを尊重し、⽣きがい、やりがいを感じながら、さまざまなメリットを享受し、幸せに過ごせるようになります。

ブロンズ認証事業所のご案内

■ブロンズ認証事業所のご案内

お問合せ

⼀般社団法⼈ ⽇本ユマニチュード学会

メールアドレス:info@jhuma.org
電話:03-6555-2357
※受付時間 10:00-15:00(⼟⽇祝を除く)
※受付時間外の場合は、メールにてお問い合わせください

日本初となるユマニチュードブロンズ認証事業所として 2 事業所(グループホームふじの家瀬野、ならびに調布東山病院・病棟)を決定しました。

(2023.6.11 現在)



株式会社不二ビルサービス
グループホーム ふじの家瀬野

広島県広島市安芸区瀬野 5 丁目 3 番 7 号
認知症対応型共同生活介護(グループホーム)
定員 27 名
広島市の郊外にあるグループホームふじの家瀬野は、「安心・安全・快適な癒しの空間創り」の理念のもと、「自分自身が入居したい、家族を入居させたい」というコンセプトのグループホームです。
 ふじの家瀬野の特長は、チームワークの良さ。職員それぞれが入居者を尊重し、良いケアとは何かを考え、意見を出し合うとともに、個々にばらばらだったケアのやり方を、認証への取り組みを通して客観的に見ることで、同じ方向を向くことができるようになったといいます。
 認証を取得することが目的ではなく、 入居者のために「良いケア、良い生活の場」を実現すること。そのための 認証取得への取組であるということを忘れず、毎日たくさんの笑顔とともに、ポジティブにユマニチュードケアに取り組んでいます。
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医療法人社団 東山会
調布東山病院 5階・6階病棟

東京都調布市小島町2-­32-­17
病院
定員 83 床
調布東山病院は、「ここで出会う人たちが『よい人生だった』と言えるように、その人の人生に関わり、地域にとって価値ある組織であり続ける」ことを目指し、全国でも早い段階からユマニチュードに取り組み続けてきた病院です。
調布東山病院の特⻑は、仲間づくり。大きな組織での認証への取り組みにおいて直面したのは、毎日の習慣を変えることの難しさでした。そこで、職員に毎日、ユマニチュードを通じた良いケアについて伝え続け、お互いの理解を深め、仲間を増やしていきました。
看護部だけでなく多職種一丸となり、多くの人を巻き込みながら、ユマニチュードの哲学や精神が日常に定着した組織風土づくりに挑み続けています。
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