「現場での課題共有会」より
会員限定コミュニティ「雨宿りの木」にて、医療・看護・介護などケアの現場で働く会員の皆さまと語り合う「現場での課題共有会」が2月からスタートしました。この会に寄せられた実践者ならではの悩みや疑問に、ジネスト先生、本田美和子代表理事が回答した解決策やアドバイスを皆さまと共有いたします。ご活用ください。
※参加者の皆さまのプライバシーに配慮し、実際の内容を一部変えている部分があります。
Q.訪問看護をしていますが、認知症のお母様に怒鳴ってしまう息子さんがいて、こちらも辛くなるほどです。ご自身の中で、認知症のお母様を受け入れられないようで「頭では分かっているけれど心がついていかない」とおっしゃっていますが、何かできることはありますか。
A.ユマニチュードの映像資料を勧めてはいかがでしょう
ケアが必要なご本人よりもその周囲の方が問題だということもよくあることです。患者さんのご家族の問題は、知識がその解決の手段になると私は実感しています。
その知識を持っていただくために、ユマニチュードの映像資料や教材をみていただくのが良いと思います。一つは、東京医療センターの高齢者ケア研究室が作成したYouTubeで30分ほどで見られる映像があります。
また、NHK厚生文化事業団と一緒に制作したDVDもあり、こちらは同事業団に申し込めば無料で貸し出しをしてくれます(どちらもこのWEBサイトの「関連書籍・DVD」のコーナーで詳しく紹介をしています)。
この3枚組のDVDには、家族の認知症を受け入れられず困り果てているご家族のドキュメンタリーや、具体的な技術を教育テレビのような形式でお伝えしている模様が収載されていますので、今回のケースのご家族には良い内容かと思います。
息子さんに「なるほど、こういうことか」と思っていただければ、困った状況を軽減させることができるかもしれません。
日本ユマニチュード学会は、この度、一般財団法人 非営利組織評価センターが実施する第三者組織評価『ベーシックガバナンスチェック』において「ベーシック評価団体」と認定されました。
本調査は、非営利組織評価センター(JCNE)による評価基準に基づき、団体運営の基本についてセルフチェックと提出書類をもとに評価されます。
当学会は、ガバナンスやコンプライアンス、事務局運営等23項目すべてにおいて「基準を満たしている」との評価を頂きました。
評価結果はこちら。JCNE事務局からのコメント
日本国内におけるユマニチュードの哲学とその技法の普及、浸透と研究を目的に2019年7月に設立。新型コロナウイルス禍において、柔軟にWEBオンラインによる社員総会を定款・法令どおりに開催している。また、理事会は年3回~5回開催され、活発に話し合われ、議決を行っていることが分かります。
ベーシック評価団体一覧はこちらでご覧いただけます
『雨宿りの木』では、下記の勉強会をオンラインで実施します。
同じ不安や心配事を抱える会員の皆さまが集まり、悩みを共有しあったり、解決策を一緒に考えたりする会員コミュニティ「雨宿りの木」。8月は当学会の理事でもある、京都大学大学院情報学研究科の中澤篤志准教授をお招きして勉強会を開催します。
今回のテーマは「科学的介護の実現に向けて、現在の進捗とこれからの活動」。
ユマニチュードを基軸とした科学的介護の研究は、2017年に国の研究プロジェクト・戦略的創造研究推進事業(CREST)に採択され、京都大学・九州大学・理化学研究所・静岡大学・奈良先端科学技術大学院大学・東京医療センターなどに所属する多くの研究者が、ユマニチュードの科学的な分析、人工知能やロボットを用いた教育や臨床の共同研究を進めています。今回の「雨宿りの木」では、科学的介護の進捗と未来についてお話しいただきます。
開催概要
登壇者:中澤篤志准教授、本田美和子代表理事
テーマ:「科学的介護の実現に向けて、現在の進捗とこれからの活動」
予約:不要。会員の皆さまにZOOM視聴URLをお送りします。
質問::本田代表理事、中澤准教授へ聞きたいことがある方は質問フォームへ。
※質問フォーム
※ZOOMの使い方はこちらをご覧ください。
日本ユマニチュード学会理事
京都大学大学院情報学研究科知能情報学専攻 准教授
大阪大学講師を経て2013年から現職。医療者やロボット研究者、心理学者らとチームを組み、ユマニチュードを通じて優しいケアの技術を解明する研究プロジェクトを牽引している。
プログラム
13:50 ~ 入室
14:00 ~ ライブ配信開始
14:00〜15:15 | 対談:中澤篤志准教授、本田美和子代表理事 テーマ:「科学的介護の実現に向けて、現在の進捗とこれからの活動」 |
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15:15〜15:30 | 質疑応答 |
15:30 終了
日本ユマニチュード学会では、今後も会員の皆さまが集える会やゲストをお招きした勉強会を開催してまいります。
当学会は、医療・看護・介護などの専門職の方はもちろん、ご家族の介護に携わられている方やユマニチュードに関心のある方などどなたでも会員としてご参加いただけます。
ご参加を希望する方でまだ会員登録されていない方は、ぜひこの機会に登録いただき『雨宿りの木』にご参加ください。
詳しくは、「入会のご案内」をご覧ください。
下記からご覧いただけます。学会だより 第7号
「現場での課題共有会」より
会員限定コミュニティ「雨宿りの木」にて、医療・看護・介護などケアの現場で働く会員の皆さまと語り合う「現場での課題共有会」が2月からスタートしました。この会に寄せられた実践者ならではの悩みや疑問に、ジネスト先生、本田美和子代表理事が回答した解決策やアドバイスを皆さまと共有いたします。ご活用ください。
※参加者の皆さまのプライバシーに配慮し、実際の内容を一部変えている部分があります。
Q.障害のある方の外出をお手伝いするガイドヘルパー(移動介護従事者)の仕事をしています。片方を壁につけるように配置されたベッドで、壁の方を向いて寝ている方とはどのように視線を合わせたら良いでしょうか。
A.鏡を使って目を合わせる工夫を
壁にベッドが付いていて、ご本人が壁の方をむいている時、まずやれることはベッドを動かすことです。キャスター(車輪)をつけることが望ましいですが、難しい時は、脚の下に滑りを良くするマットなどを敷くことができると思います。そうすれば、必要なときには、アイコンタクトを取りに行けるような隙間を作ることが可能となります。
もう一つの解決法は、壁の方に鏡を置くことです。寝ている方が声を聞いて目を開ければ、鏡に映る私たちの姿を見て、自分の後ろに誰かがいることに気づけます。ケアをする人が「ここにいるよ」と分かってもらえれば、こちらを向いてもらったり、体を動かすことも出来るかもしれません。
背中が丸まって下を向いている状況の方とも、目と目を合わせることが難しいことがあります。こうしたときも鏡を使って、その人のお顔が映るようにすれば、鏡を通して目を合わせることができます。
「現場での課題共有会」より
会員限定コミュニティ「雨宿りの木」にて、医療・看護・介護などケアの現場で働く会員の皆さまと語り合う「現場での課題共有会」が2月からスタートしました。この会に寄せられた実践者ならではの悩みや疑問に、ジネスト先生、本田美和子代表理事が回答した解決策やアドバイスを皆さまと共有いたします。ご活用ください。
※参加者の皆さまのプライバシーに配慮し、実際の内容を一部変えている部分があります。
Q.マニチュードを実践していますが、上司から「そんなことはしないでいい」と言われてしまいます。
訪問看護をしています。ユマニチュードで接すると利用者さんが安心して笑顔になってくださるのが嬉しいのですが、現場での滞在時間が短いため、上司から「そんなことはしないでいい」と言われてしまいます。
A.良いケアを届けるためユマニチュードをぜひ続けて下さい
「ユマニチュードなんてやっている時間はない」という言葉は世界中でよく聞く言葉ですが、実は全く逆です。私たちの調査では、ユマニチュードに基づいた仕事をすると3時間かかる仕事のうち35分、つまり約6分の1の時間が短縮できるという結果があります。
例えば、福岡市消防局で救急隊がユマニチュードを取り入れるプロジェクトを行っているように、救急搬送という緊急事態でもユマニチュードは役に立っています。「ユマニチュードは時間がかかる」とおっしゃる方は結局のところユマニチュードがどういうものかご存知ないのです。
ユマニチュードを専門職の方へ教えるとき、技術的なことはもちろん必要ですが、それを最初にしてしまうと、相手に対してその技術を一方的に行ってしまう、「ケアをしてあげます」という権力を一方的に発動する関係に陥りかねません。
ユマニチュードは相手との良い関係を結ぶ技法です。おっしゃっているように、相手の笑顔を引き出すことができます。「ユマニチュードをする時間がない」ということは、「私たちは良いケアをする時間がありません」と言っているのと同じです。
ユマニチュードが必要だと考え方を変えてもらうことは難しいですが、あなたはぜひユマニチュードを実践し続けて下さい。以前、夜勤の誰も見ていないときにユマニチュードをやって、認知症の方とコミュニケーションを取り、穏やかに過ごしてもらえているという看護助手の方のお話を聞いたことがあります。
大切なことは、相手が穏やかでにこやかになれるかどうかということで、私たちはそれを実現するためにいるのです。ぜひ、ユマニチュードを今後も続けていただけたらと思います。
2021年9月25日(土)〜26日(日)に、第3回日本ユマニチュード学会総会/<同時開催>生存科学研究所共催 ・市民公開講座を開催いたします。
昨年に引き続き、多くの方が一堂に会することによる感染症拡散リスクを避けるため、本学会は全てのプログラムをインターネットを通じたオンライン配信にて実施いたします。
第3回 日本ユマニチュード学会総会
『つなげようケアのバトン』
同時開催
生存科学研究所共催・市民公開講座〜家族をつなぐユマニチュード〜
開催概要
東京医療センターの発表会場より、zoomなどを活用しライブ映像を配信いたします。
日時:2021年9月25日(土)、26日(日)の2日間
視聴方法:Zoom等での映像配信を予定
参加費:無料 ※事前登録制
申し込み期間は終了いたしました。
プログラム(敬称略)
※講演タイトルなどは変更となる場合がありますことご了承ください。
2021年9月25日(土)13:00-17:30
第1部 生存科学研究所共催・市民公開講座
〜家族をつなぐユマニチュード〜
※第1部はどなたでもご覧いただけます。(無料・要事前登録)
家族が介護を必要とする状況になった時、常にそばで支え続ける家族介護者の皆さんの多くは、戸惑いや苦悩を感じた経験があるのではないでしょうか。
「どうしてわかってくれないの?」
ユマニチュードはそんな思いを改善する一つの方法になるかもしれません。ユマニチュード考案者のイヴ・ジネスト先生からご講演をいただき、家族介護の当事者である南髙まり様(認知症専門医・長谷川スケール開発者の長谷川和夫先生のご長女)をゲストに迎え、阿川佐和子理事、本田美和子代表理事との鼎談により、貴重なご意見をいただきます。
13:00-13:10 | 開会挨拶 公益財団法人 生存科学研究所 理事長 青木 清 |
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13:10-14:50 | 基調講演 『家族のためのユマニチュード』 イヴ・ジネスト(日仏通訳) |
15:00-16:00 | 鼎談 『家族をつなぐユマニチュード』 南髙まり様、阿川佐和子理事、本田美和子代表理事 南髙まり様
国立音楽大学卒業後、音楽を通じての地域活動を推進するとともに、現在は精神保健福祉士として立川市役所の精神障害者デイサービスに勤務。三人きょうだいの長女として、父(長谷川和夫先生)が80歳を過ぎた頃から主な活動に付き添い、著書「父と娘の認知症日記」(中央法規出版)などを通じて介護の体験を発信している。
長谷川和夫先生は、1929年生まれ。「長谷川式簡易知能評価スケール」を開発し、「認知症」への名称変更の立役者でもある認知症専門医。2017年に自らが認知症であることを公表して以降、当事者の立場から認知症の人の想いを発信している。 阿川佐和子理事
エッセイスト、作家。2012年『聞く力――心をひらく35のヒント』が年間ベストセラー第1位、ミリオンセラーとなったほか、2014年には菊池寛賞を受賞。2018年に「看る力」、介護を題材とした小説「ことことこーこ」を上梓。2019年の設立時より日本ユマニチュード学会理事を務める。
本田美和子代表理事
内科医。亀田総合病院、米国コーネル大学老年医学科などを経て、2011年より日本でのユマニチュードの導入、実践、教育、研究に携わり、その普及・浸透活動を牽引する。
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16:10-16:25 | 『ユマニチュード施設認証制度日本版の導入に向けて』 森山由香 施設認証準備委員長(ユマニチュード認定チーフインストラクター ) |
16:25-16:30 | 閉会挨拶 本田美和子代表理事 |
第2部 日本ユマニチュード学会 第2期 定時社員総会
※定款第16条ならびに第23条の定めにより、今回の社員総会の招集通知は、2021年6月末までに登録・承認された正会員(賛助会員正会員も含む)の方が対象となります。参加方法については後日ご案内を差し上げます。
16:40-17:30(予定) | 日本ユマニチュード学会 第2期 定時社員総会 |
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2021年9月26日(日)10:00-15:30
第3部 日本ユマニチュード学会 会員総会
〜ユマニチュードケアの再現性と継続性を目指して〜
※学会員(市民会員、専門職会員、専門職学生会員、正会員、賛助会員の全て)の方のみご参加いただけます。
※会員以外の方は、この機会にぜひご入会をご検討ください。詳しくは、『入会のご案内』をご覧ください。
近年、ユマニチュードは様々な場面で実践され、その有用性についての研究も広がってきています。しかし、一方で、そのケアの継続性と再現性には多くの課題があることも事実です。そこで、多くの実践者からの研究報告を聞くとともに、シンポジウムでは組織を超えたユマニチュードの実践によって療養生活を支え続けている報告を聞き、ユマニチュードケアの再現性と継続性について考えます。
10:00-10:05 | 大会長挨拶 |
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10:05-12:15 | 口頭発表 |
13:15-14:15 | シンポジウム 『ケアの連携〜調布東山病院での事例』 佐々木澄子様、吉澤真理様(ご家族介護者) 社会福祉法人 桐仁会 居宅介護支援事業所 安達英一様 医療法人社団東山会 東山訪問看護ステーション科長 佐久本和香様 特定医療法人社団研精会 デンマークイン若葉台 栗田香織様(ユマニチュード認定インストラクター) 安藤夏子 教育育成委員長(ユマニチュード認定チーフインストラクター) ※ 東山訪問看護ステーションからのご登壇者が当初案内より変更となりました。 |
14:25-15:05 | 口頭発表 |
15:05-15:20 | 『ユマニチュード施設認証制度日本版の進捗報告』 森山由香 施設認証準備委員長(ユマニチュード認定チーフインストラクター ) |
15:20-15:30 | ラップアップ、閉会 本田美和子代表理事 |
15:30 閉会
口頭発表をご希望の皆様へ
ユマニチュードの実践に関わる研究成果や事例を報告・発表するセッションです。ユマニチュードの実践を通じて得られた基礎研究、臨床研究、社会学的研究の成果を始め、医療・介護などケアの専門職だけでなく、研究職、家族介護や地域活動をされている方など、幅広い分野からの取り組み事例のご応募をお待ちしています。また、他学会ですでに発表になったものもアンコール発表として歓迎いたします。
・口頭発表の持ち時間は、質疑応答を含めて1件10分(発表7分、質疑応答3分)の予定です。
・原則として発表者は本学会の会員(正、専門職、専門職学生、賛助、市民)とします。ただし、登録時に非会員であっても、本学会会員登録をご予定の場合は応募可能です。
・会場にお越し頂いてのご発表、もしくは遠隔からのオンライン参加のどちらからでも可能です。(発表方法については、ご応募いただいた後に事務局よりご案内させていただきます。)
・オンラインでの運営上、口頭発表セッションのみとなります。ポスター発表ご希望の方も、口頭発表をぜひご検討ください。
・申込フォームにて提出された抄録原稿は、本学会の学術研究委員会によって査読を行い、採択審査の結果を、8月末頃までに申込者に電子メールで通知いたします。
発表申込締切:2021年8月15日(日)
申し込み期間は終了しました。