2022年4月から日本での導入がスタートしたユマニチュード認証制度。本人・家族、職員、経営者のすべての幸せを目指し、ユマニチュード5原則と生活労働憲章の実現を通じて質の高いケアを実践している組織を育成・支援し、その輪を広げていくことを目的としています。

この度、初年度のパイロット事業として取り組みをスタートした20の事業所の中から、日本で第1号となるユマニチュード認証事業所が誕生する見込みとなりました。つきましては、認証授与式を執り行うとともに、認証へのチャレンジを通して組織や個人がどう変化したか、実体験に基づいた現場の生の声を伺い、良いケアの意義について皆さんとご一緒に考えるシンポジウムを開催いたします。

ユマニチュードに組織で取り組んでいる方々、これからの取り組みを検討している方々、ユマニチュード認証を取得した施設・病院等にご興味のある方々、多くの皆さまからのご参加をお待ちしております。

開催概要

開催日時 2023年6月11日(日)13:30〜15:00(90分)
構成

第一部 ユマニチュード認証授与式

講評/イヴ・ジネスト氏(ユマニチュード考案者)
※オンライン

第二部 シンポジウム
『ユマニチュード認証事業所に聞く:認証の意義とは』

認証取得事業所代表、当学会認証審査委員
本田美和子代表理事

司会・進行

佐々木恭子
(元 当学会 認証準備委員、株式会社フジテレビジョン編成制作局アナウンス室部長職チーフアナウンサー)

場所 都内会場よりライブ中継
※関係者以外はYouTubeによるオンラインでの参加・視聴となります
申込 当学会の会員以外の方のご参加には、事前のお申し込みが必要です。
下記よりお申込ください。
(締切:2023年6月8日(木)20時)
会員以外の方の事前の参加登録はこちらから
(外部サイトへ移動します)
視聴方法 会員の方には事務局より前日までに参加URLをお送りいたします。
会員以外の方はお申し込みいただいたメールアドレス宛に参加URLをお送りいたします。当日はそちらのURLよりご参加ください。
参加費無料

当学会は、医療・看護・介護などの専門職の方はもちろん、ご家族の介護に携わられている方やユマニチュードに関心のある方などどなたでも会員としてご参加いただけます。

ご参加を希望する方でまだ会員登録されていない方は、ぜひこの機会に登録いただき本イベントにご参加ください。

詳しくは、「会員制度のご案内」をご覧ください。

令和5年度福岡市主催「ユマニチュード認証制度」事業へのお申込についてご案内します。

「ユマニチュード認証制度」とは、ユマニチュードを通じて『質の高いケア』を実践し、200項目以上にのぼる『評価基準』によって客観的に評価され基準をクリアした組織に対し、認証を行うものです。ユマニチュードの認証を取得した事業所は、地域社会において質の高いケアを普及・浸透させる先進拠点となっていくことが期待出来ます。

今後のスケジュール

①説明会 令和5年5月13日(土)
 認証制度の概要、評価基準の説明、取込みの具体的なステップなどを説明します。
②認証制度申込 令和5年6月4日(日)締め切り
③事業所決定 (令和5年6月中旬)
④キックオフミーティング・講演等
⑤助言・進捗フォロー
⑥訪問相談・事前審査(令和6年1~2月ごろ)
⑦本審査・認証取得(令和6年3月末ごろ)

お申込フォーム

※募集期間は終了しました。

ユマニチュード認証制度や支援内容についての説明会を下記の通り開催します。

質の高いケア実践の証として「ユマニチュード認証制度」の認証取得を目指す高齢者施設等に対して、認証取得に係る費用の一部助成や相談助言等により、福岡市が認証取得を支援します。

「ユマニチュード認証制度」とは、優しさが伝わるコミュニケーション・ケア技法「ユマニチュード」を通じて『質の高いケア』を実践し、200項目以上にのぼる『評価基準』によって客観的に評価され基準をクリアした組織に対し、認証を行うものです。ユマニチュードの認証を取得した事業所は、地域社会において質の高いケアを普及・浸透させる先進拠点となっていくことが期待出来ます。

開催概要

日程 令和5年5月13日(土)14:00~15:30
場所 福岡市健康づくりサポートセンターあいれふ 9階研修室A
(福岡市中央区舞鶴2丁目5−1)
交通アクセスはこちらから
定員 40人(多数の場合、抽選)
対象 福岡市内の高齢者施設・医療機関
申込方法 ※募集期間は終了しました。
お問合せ 一般社団法人日本ユマニチュード学会 窓口
メール:fukuoka@jhuma.org
電話:03-6555-2357(月~金 10:00~16:00)
主催
福岡市は、認知症になっても、住み慣れた地域で安心して自分らしく暮らせるまち「認知症フレンドリーシティ」を目指し、認知症コミュニケーション・ケア技法ユマニチュードの普及に取り組んでいます。
認証準備会員様の取り組みをご紹介します

認証準備会員として、ユマニチュード認証にチャレンジ中のケアホーム西大井こうほうえん(東京都品川区・社会福祉法人こうほうえん)が、この度、「介護付きホーム研究サミット2022」で優秀賞を受賞されました。この取り組みをご紹介します。

こうほうえんでは、開設以来、口腔ケアに注力してきました。口腔ケアは、歯・口の病気予防だけでなく、QOLの改善、誤嚥性肺炎の予防、認知症予防など全身の健康に関与します。入所当初は口を開けることすら拒絶反応を示す利用者さまも少なからずおられるそうですが、介護士を始めとするスタッフ一丸となって口腔ケアの技術を磨き、ユマニチュードの哲学と技法をもとに利用者様との良い関係性を構築することで、自ら口を開けケアに協力してくれるようになるのだそうです。

このために独自の研修制度を取り入れ、そこでは、①歯磨きと専門知識、②機能的口腔ケア、③口腔ケアプランを学び、段位制度も設置しています。半年や一年に一度、学びの見直しも行なっています。こうした取り組みが評価され、「介護付きホーム研究サミット2022」で優秀賞を受賞されました。

今回は、この取組みの経緯や成果について、施設長である田中さん(当学会の理事でもあります)、歯科衛生士の奈良さん、介護福祉士の清水さん(ユマニチュード推進委員で口腔ケア委員会チーフ)に現場の生の声をお伺いしました。

業界内でも、反響が大きく関心が持たれたとのことですが、一般的な口腔ケアがどのようなものが多いのでしょうか?

清水さん 毎食後の口腔ケアは、トイレや更衣・食事等と比べると、優先順位もついつい低くなり、歯ブラシを口に入れて動かす、スポンジで口の中を拭う等、「こなす」ケアになりがちです。入居者様が「痛い」「嫌だ」という場合には、ケアを諦めることにもなりかねないのが課題だと思います。

奈良さん 歯科衛生士の居宅療養管理指導は月に4回という回数の決まりがあり、必要な人に必要なケアを行うので、効果は高いですが、効率は決して高くないです。

田中さん お口の中というのは、とても複雑で敏感な器官です。歯の数、義歯か否か等、個別性が高くもあります。そのケアをするにあたっては、良い関係性の構築がなくてはならないものです。何も聞かされないままケアを受けることで、反射的に噛んでしまうケースも多々あり、職員はそれを自分が悪いからと責めてしまう。どちらにとってもつらいことです。しかし、こうほうえんでは現在、「噛む」ということも全くなくなりました。

口腔ケアとユマニチュードとの関係性はいかがですか?職員の意識や行動にどんな変化や影響がありましたか?

奈良さん 私は障害者の歯科衛生にも携わっていましたが、そこでは、基本的方法であるTTSD(T(Tell:説明する)、T(Touch:触らせる)、S(Show:器具等を見せる)、D(Do:実施する))にて治療を行います。治療中も、「今の状態」の説明を行い、がんばっていること、がんばったことをほめることで、成功体験を身につけていきます。何が起きるかわからない不安が安心に変わることで、治療もスムーズに進めることができます。

まさにこれが、ユマニチュードの4つの柱・5つのステップにも合致しているように思えるのです。ユマニチュードはとても有効な手法だと思います。

清水さん 立位になる時間と口腔ケアを組み合わせた取り組みをしています。立位でのセルフケアは無理でも、うがいからはじめてみる、鏡の前に立ってケア後のお口の様子を見てみる、など、一人ひとりにあった取り組みを組み入れています。口腔ケアのベースが確立されることで、他のことと連携して自立へのステップとなっています。

また、口腔ケアに関する職員アンケートでは、取り組みを始める前は関係性の確立が難しくあきらめることもあったが、入居者様それぞれに合った関わり方を工夫することで、実施率・関係性ともに上がったという声を聞くことができました。「◯○せねばならない」という考えがなくなった、気持ちが楽になった、という声もありました。

例えば入浴に関しても、これまでは「午前中に」「何人入れる」など、こちら側の都合で進め、服選び等も職員が行っていました。自分たちのものさしでケアをこなしていたという感じです。現在は、職員みんながユマニチュードという共通の意識を持っているので、一人ひとりに合ったケアを自然に実現できるようになってきていると思います。

口腔ケアに限らず、どのケアでも同じで、「できる」の基準を変えたことで、入居者様も職員も穏やかに取り組めていると思います。

独自の研修・段位制度を作るにあたって、苦労した点、工夫した点、また成果としてどのようなことがありましたか?

奈良さん 施設としての方針がしっかりしていたので、苦労といった苦労はなかったです。忙しい日々の業務の中で、全員が同じ研修を受けるにあたっては、チーム分けをして取り組む・シフトを工夫するなどの調整でやりくりしています。初級(ブロンズ)の時点で、歯の名前など知識の共有を図るので、正しい情報を速やかに共有できるようになりました。お口の異常も早期に発見できるようになりました。何よりも、「適正な口腔ケアを継続すると、歯ぐきから出血しなくなることを介護職員が身をもって体験し理解した」ことが、専門分野からみた意識の変化になり、臨床ではセルフケアへの動機づけとして有効な事象になります。

清水さん 確かに、歯ぐきから出血しなくなることを知ることは大きな体験でした。出血しなくなることが適正なケアの判断基準となり、入居者様と「血が出なくなったね」と喜びを分かち合えるのは嬉しい成果でした。

取材を終えて

口腔ケアをしっかり行なうことで、入居者様も良い気持ちになり、職員も自分の仕事に誇りを持って取り組める。朝礼のときにユマニチュードの話をしているそうですが、自分が行なうケアの体験を共有することで、聞いた側も成長につながっている。こうほうえんでは、ユマニチュードと口腔ケアを軸に、良いケア浸透の好循環が進んでいるようでした。

(取材:天田 瑞恵)

2023年5月から、市民・家族のためのユマニチュード認定サポーター準備講座・養成講座が始まります!

詳しくはこちらのページをご確認ください。 下記からご覧いただけます。

学会だより 第13号